ガソリン価格が高止まりしてるのももちろん困ったことなんだけど、それより相変わらずエンジンオイルの消費が多いのには困った。以前、
クランクシャフトオイルシールを交換して多少は改善したものの、
300kmで1Lぐらいは減る。。。一番安いオイルを20Lのペール缶で買って都度足してるもんだから、玄関先が空きペール缶だらけになってきた(苦笑)。
で、車検の時にクルマ屋の大将に相談したら、排ガスの匂いを嗅ぐや即決で「ほぼ間違いなくオイル下がりだろう」とのご指摘。さすがプロだよなぁ。
そんなわけでバルブステムオイルシールを交換することに。こんなこともあろうかとシール自体は円高の時に買い置きしてあることだし。
ただ、ネットの情報を調べるとこの作業、なんだかけっこうめんどくさくて難しいみたいだ。クルマ屋の大将に「ちゃんとお金払うからやってよ」と懇願してみたけど、案の定「やだよ、そんな変なクルマいじるの」と断られた(苦笑)。
しょうがないからいろいろ予備知識を頭に叩き込んで、自分なりに工夫してやってみることにした。もちろん、こないだ見つけた
フランスの情報サイトもフル活用(但し、ホントにいろいろめんどくさい作業だったのは確かなので
「タイミングベルトの交換ぐらいは朝飯前!」というレベル以上の人じゃない限りお奨めしません・・・)。
とりあえずないよりあった方がよかろうと数千円の安いバルブスプリングコンプレッサキットも一応購入。実際に使ったパーツはこの中の5、6個だけだけど、結果は買って正解。これがなかったらあと二日はかかってたんじゃなかろうか。
カムカバーを外す。
カムの上を通っているオイルパイプを引き抜く。手で真上に引っ張れば簡単に外れる。
ここまでは過去にやってみたことがある作業。
オイルパイプのOリングが劣化してて、割れてポロっと落ちてきた。ゴムのOリングがプラスチックみたいに固化してる。
手持ちのエアコンライン用のOリングセット(R134a用なので緑色)の中ににちょうどいいサイズがあったから、とりあえずこれで代用。左がOリング装着後、右がOリングが欠落した状態。
ここから未知の領域・カムシャフトの取り外し作業となる。
フランス情報サイトによれば、まずはクランクとカムを所定の位置に固定しろとのこと。
この「所定の位置」というのは、いつもタイミングベルト交換の際に基準にしているカムプーリとクランクプーリの位置決めと同じ。こうすることでエンジン内部では4つのピストンがすべて同じ高さに揃うのだ。
・・・ただ、カムシャフトを外すのにどうしてその位置にしなくちゃいけないのかは不明。。。ぶっちゃけ外す時はどの位置でもいい気がするんだけどなぁ。
まあともかく先生が言うんだから素直にこの位置にしてみる。
まずはカム側。プーリ正面から見て8時ぐらいの位置のエンジン側に位置決め穴があるので、ここにカムプーリの位置決め穴を合わせて、勝手に回らないようにM8ぐらいのテキトーなボルトを突っ込んで保持する。
カム側が決まればクランク側も合う。11時の位置のエンジン側にある位置決め用切り欠けにプーリの位置決め穴がぴったり合ってるはずだ。こっちもM10のボルトを挿して勝手に回らないようにしておく。
位置決めは完了。ここからいよいよカムシャフトの取外しだ。
まずはディストリビュータを外す。
横からベアリングケースに向かって六角ボルトが入ってるので、これも外す。
タイミングベルト側のベアリングケースにもフォーク状の押さえ金具が六角ボルトで止まってるのでこれも外す。こんな時たいてい意地悪なプジョーさんにしては珍しく、ディストリビュータ側と同じサイズの六角ボルト(嬉)。
続いてタイミングベルトを外したら、カムプーリのセンターボルトを緩める(固いのかと思ったらそうでもなかった)。
さっきの各プーリの位置決めボルトはもう不要なので撤去(・・・やっぱり事前に位置決めしとく必要はない気がしてならない)。
カムプーリをカムシャフトから抜く。これも大変かと思ったら普通に手でスポっと抜けた。
あとは5つあるベアリングケースの固定ボルト計10本を外せばカムシャフトも勝手に外れてくるんだけど、カムにバルブスプリングの反動がかかってるから、端から一気に外すんじゃなくて均等に少しずつ緩めていく。カムシャフトは下からバルブスプリングに押されて勝手に浮き上がってくる。
外れたカムシャフト。カムプーリ側(写真の左端)には本来オイルシールがあるんだけど、今回交換するから写真を写した際にはもう外してある。
バルブスプリングにかぶっているカップを磁石で引き上げて外す(写真上列)。
但しこの時カップの中にはシム(直径13.5mmの円盤)が入ってるので紛失に注意!!このシムってやつはオイルの表面張力でカップの内側に貼り付いているだけなのだ。
しかもこのシムは、各バルブのクリアランスに合わせてそれぞれ厚みが微妙に異なる物が入ってるので、外したらバルブごとにきちんと分類しておくこと。実測したところ各バルブで3.0〜3.25mmぐらいの間で厚さの違いがあった。ホントはタペットクリアランスを測定して、再組立て時に正規のクリアランスになるように正しい厚さのシムに交換するべきらしいんだけど、そもそもそんないろんなサイズのシムのセットを持ってるわけじゃないからこれまでのシムを再利用。タペット音が気になるならちゃんと測定して正しいクリアランスになるシムを注文する必要がある(なかなか売ってないみたいだけど)。
ここまで外すとバルブスプリング上部を押さえているリテーナ(ドーナツ状の円盤)が見えてくる。この下にバルブスプリングがある。
リテーナのドーナツ穴とその内側のバルブステム上端の間に二つ割で入ってるのが噂のコッターだ。こいつがバルブステムとリテーナの間に挟まってることでスプリングを押さえ込んでいる。びっくり箱の蓋の役割だ。
スプリングをぐっと押さえ込んで縮めといて、その隙にこのコッターを外せば、押さえが効かなくなってコンプレッサを緩めた際にビヨーンとスプリングが外れてくれることになる。
ただ、ここで気を付けないといけないことがある。スプリングが外れるとバルブを保持してる物がなくなっちゃうから、このままだとバルブはシリンダの中に落っこっちゃう。そうなるともうエンジンヘッドもバラさないと復旧不可能だ。
世の中のサイトを見回すと、バルブが落下しないよう保持するためにみなさんいろんな苦労をされてる。エアーでシリンダ内に圧をかけてバルブを保持するとか、シリンダ内にナイロン紐を押し込んでバルブが下がらないようにするとか。バルブステムシールの交換作業はここが最大のネックらしい。
・・・が、あんまり難しいことは考えないことにした。ピストンを一番高い位置にしとけば、バルブが自重で多少下がったとしてもピストンにつっかえてシリンダ内に落ちることはないはずだ。これならステムをつまんで引き上げればいいだけだから復旧可能。
スパークプラグ穴に割り箸を突っ込んで、クランクを回して一番上がる位置を探す。ピストンは両端2気筒と内側2気筒がそれぞれ同じ動きをしてるので、2気筒ずついっぺんに作業可能だ。今回は内側2気筒から始めることにした。
クランクを回して内側2気筒のピストンを上死点にしたら、ここで秘密兵器の登場だ。
バルブスプリングコンプレッサ。こいつでスプリングを上から押さえ込んどいて、その間にフリーになったコッターを外す。
コッターが飛び散らないように軽くこづくだけにして、あとは磁石とピンセットでそっと外していった。
プジョー205用の専用工具ってわけじゃないからバルブの位置によっては周囲のパーツが邪魔になったりしていろいろ手間はかかった。最終的にはイグニッションコイルやら燃料パイプ、インジェクタまで外す羽目に。
スプリングを取り除いたあとを覗いてみると、お目当てのステムシールが見えた。こいつをキットにある専用プライヤを使って引き抜くんだけど、今回
最も苦労したのがこの作業だった。
とにかくバカみたいに固着してやがる。こじってもひねっても抜けてこない。掴んでるプライヤ自体もだんだんひん曲がってくる始末。
結局、8個とも上からタガネでカチ割って取り出した。荒療治。
外したステムシールはもう原型を留めてない。よって、ホントにここからオイル下がりしてたのかどうかも確認不能。。。
オイルシールがなくなってスッキリさっぱりしたバルブステム。
ホントにシリンダ内に落っこちることはないかと試しに上から押してみたけど、1cmほど下がったところでコツンとピストンに当たって止まるから大丈夫だ。
新品のオイルシールを取り付ける。
せっかくあるからキットに付属してたシール打込み棒を使って打ち込んだけど、テキトーなパイプあてがってでもできそうだ。
きちんと打ち込まれれば打音が変わるし手応えもあるのですぐわかる。
バルブステムをいっぱいまで引っ張り出した状態にして(新品のオイルシールの締め付けがちゃんと効いてるから自重で勝手に下がったりはしなかった)、スプリングとリテーナをかぶせ、ここで再びスプリングコンプレッサの出番。
スプリングを上から押さえ込んどいて、磁石とピックツールとピンセットを駆使してうまいこと元通りコッターを入れ込む。
大事なことは、2個のコッターが正しい位置にきちんと納まるまでとにかくしっかりスプリングを押さえておくこと。万一途中でコケるとコッターがすっ飛んで行方不明になる。私は2個すっ飛ばして、捜索に一時間以上かかった。。。
コッターが納まればバルブはスプリングに引っ張られて完全に保持される。もうピストンが下がってもシリンダ内に落ちることはない。
こうして内側2気筒分4個の交換が終わったら、今度は外側2気筒のピストンを上死点に固定して、この2気筒分4個についても同じ作業を行う。内側2気筒に比べてバルブスプリングコンプレッサの固定方法に苦労したけど、それでも8バルブSOHCエンジンでよかったなぁとつくづく感じた。24バルブのエンジンなんか絶対やりたくないぞ。
4気筒とも終わったら、カムシャフトやらカムプーリやらディストリビュータやらを元通り組み戻して、カムプーリとクランクプーリを位置決め穴の位置に固定して(ここでの位置決めは重要!)正しくタイミングベルトを張る。カムシャフトには油膜切れ状態で始動するのを防ぐために全体に薄くオイルを塗っておく。但し、多けりゃいいだろうってドボドボかけちゃダメよ!エンジン内に回って始動しなくなるから(体験済み(苦笑))。
カムカバーを元通り戻して、邪魔になって外してあった補機類もすべて復旧すれば作業完了!
で、カムシャフトにうっかりオイルドボドボやってエンジンがかからなくなっちゃったらどうするか(いやこれ、実際やらかした時はエンジン壊しちゃったんじゃないかとホントに焦ったぞ)。アクセル全開にして始動するまでひたすらクランキング。バッテリが上がるんじゃないか?って頃にかかります!たぶん。
さあ、これでオイル消費が劇的に減ってくれればサイコーなんだけど、果たしてどうなることか。しばらく乗り回してからご報告致します!