2018/11/25

<番外>青プジョーのAT不調修理

青プジョー、数ヶ月前から時々インフォメーションディスプレイに『AUTOMATIC GEAR FAULT』なるエラー表示が出る。シフトが変わる際のショックも大きい。
ネットで調べたら、この時代のプジョー、シトロエン、ルノーに搭載されているフランス産オートマチックトランスミッション『AL4』の持病とも言えるものらしい。赤プジョーのZF社製4HP14にも相当苦労させられたのに青プジョーもかよ(-.-;。
原因はどうやら油圧調整用とダウンシフト用のソレノイドバルブの初期不良か、バルブボディの詰まりらしい。

ともかくバラしてみよう。オートマの分解は赤プジョーでさんざんやってるから抵抗感はない(苦笑)。
エンジンルームのエアインテークまわりの部品を外すとブツが見えてくる。


まずはフランス車ではおなじみの8mmのスクエアレンチで下部のATFドレンプラグと上部のフィラープラグを外してATFを抜く。上部フィラープラグはパーキング位置だとシフトリンケージに隠れて見えないから、シフトレバーをNかDにしてから外す。これで0.5Lぐらい抜けてくる。
バルブボディをメンテナンスするだけならこれだけでも大丈夫なんだけど、せっかくだからATFもできるだけ交換したい。

その場合はドレンプラグの奥にあるレベルゲージも抜かなくちゃなんない。8mmの六角レンチを突っ込んでゲージを外すと一気に2Lぐらい抜けてくれる。
赤プジョーに比べると恐ろしいぐらい灰色に濁ったATFが流れ出てきた。いかにもヤバそうだよ。

外したプラグ類がこれ。

ATFパンを外す。排出されたATFの状態に対して思ったよりきれいだよ。磁石に鉄粉もほとんど付いてない。

ATFパンを外したあとのミッション本体。こっちもきれいで一安心。
バルブボディを外すには、右側の電磁弁のコネクタ5個と下側の電磁弁のコネクタ1個を抜いて、バルブボディのボルト7本を緩める。
落とさないように保持しながらボルトを外して、本体から引き離したら、上部裏側に付いている問題のソレノイドバルブ2個のコネクタを外してバルブボディを完全に分離。

取り外したバルブボディ。よく見るとこびりついたATFの色が金属粉混じりのねずみ色になってることがわかる。

バルブボディを取り外したあとの本体側。念のため下の方に付いているOリング2個が外れていないことを確認しておく。

バルブボディに付いている問題のソレノイドバルブ2個。このコネクタの色が黒ければ対策済み。
黒だ。対策済みだよ。

バルブボディをバラして洗浄していく。赤プジョーのAT=4HP14に比べたらボールやらオリフィスがない分かなりやさしい。何も気にせずバラしていける。

この上段のひと回り小さいボディの裏側には小さなATFフィルタと同じぐらいの大きさのなんだかよくわからないプラスチック部品が付いてて、気付かず持ち上げると両方ともポロっと落ちちゃう。ただ、205のバルブボディのオリフィスやらボールとは違って、正しい取付け位置にしか嵌らないような親切構造になっている。

どんどんバラして洗っていく。なんか楽しいんだよね、この作業。

内部がすっかりきれいになったら元どおり組み立て直してAT本体に取付ける。

本体に取付ける時に気を付けなくちゃいけないのがこのシフトカムのポジション。赤プジョーと違って生意気に電子制御ATだから、ここの位置関係がずれてると実際のシフトポジションとECUが検出してるシフトポジションがずれちゃっておかしなことになる。シフトレバーの位置と、シフトインジケータの表示と、このカムの位置がすべてのシフトポジションでぴったり一致するように念入りに調整する。今回の一連の作業ではこれが一番苦労した(一度ズレたまま組んじゃったら、ATエラーが出まくったf^_^;)。


最後にATFパンを取り付けたら、下部ドレンのレベルゲージだけを取り付けて、とりあえず上部のフィラー孔からATFを注入。2Lぐらい入れるとやがて下部ドレンからATFが溢れ出てくる。この状態でドレンプラグを仮付けして、エンジンをかけて温まるまで待つ。規定ではATFが60℃ぐらいになったところで最終調整するらしいけど、そんなの測ってられないから触って「あちち」ぐらいになったところで、ブレーキを踏みながらシフトレバーをPからDまでまんべんなく切り替えてATFを隅々まで行き渡らせる(行き渡ったような気分になる(笑))。
ここでもう一度ドレンプラグを外して、溢れてくるようならそのままプラグを戻して終了。溢れてこなければ溢れるまで少しずつATFを足して、溢れてきたらプラグして終了。

町内を一周して再びATFを交換。これをもう1セットやったところで完了とした。抜けてくるATFがすっかりきれいになっているのを確認。

結果は上々。エラー表示はもちろんなくなり、シフトショックもすっかり解消された。めでたしめでたし。